2014年1月15日水曜日

2014年度 国立小入試を振り返って③(「お茶の水女子大学附属小学校」傾向と対策編)


今回のコラムは桐杏学園本部からです。
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お茶の水女子大附属小学校は、文京区大塚にある、男女共学の国立小学校で、略して「お茶小」と呼ばれています。同じ敷地内に、附属の幼稚園・中学校・高等学校・大学まで併設されていますが、小学校入学から最長で男子は9年後、女子は12年後の外部受験となりますし、募集も男女合わせて40名と少ないにも関わらず、2014年度入試は、2700名を越える応募がありました。

考査は、1次抽選で男女各150名になり、2次考査で男女各30名余に絞られ、3次で再び抽選。3人に2人が晴れの栄冠を手に入れました。受験生は、男女別・月齢別に3グループに分けられ、この月齢によるグループ分けは筑波大附属小学校と同様に、Aグループ=平成19年4月2日~7月生、Bグループ=8月~11月生、Cグループ=12月~平成20年4月1日生でした。
2次考査は、12月10日がAグループ、11日がBグループ、12日がCグループと昨年よりも1日多い3日間で行われました。午前(8:30~11:00)が男子、午後(12:30~15:00)が女子、考査の順番は、受付で渡された封筒中のゼッケンで判ります。

受験生の服装は、白半袖ポロシャツ、紺か黒のベスト、紺か黒の半ズボン(女子は紺か黒のキュロット)、白ソックス、白運動靴の受験生がほとんどです。保護者は1次抽選通過直後に、800字程度の作文を書きます。この内容は、子どもの考査中に行われる面接時にじっくり聞かれます。内容をメモして帰宅し、面接に備えた方が良い様です。

2次考査は例年通り、次の5点が行われました。①行動観察、②運動、③工作、④個別、⑤面接(保護者のみ)、①~③はゼッケン順で4~5人のグループが編成され行われました。
では、詳しくご紹介しましょう。

① 行動観察 月齢共通課題が1つ、月齢別の課題が1つ出ました。月齢共通課題では、好きなおもちゃをゼッケン順の4~5人のグループで選択して遊ぶ。
月齢A(以下A)の課題の例;グループのメンバーが協力して、シーソーを使って重さを調べ、「つぼのり、木の筒、お手玉、トランプ」を重い順に並べる。
月齢B(以下B)の課題の例;グループ毎に、穴が3つ開いている長方形の板、爪楊枝、輪ゴム、ゴルフボール大のボールが渡されました。先ず爪楊枝を床にさし、その爪楊枝に輪ゴムをひっかけ、長方形の板までの通り道を作ってボールを転がし穴に入れるゲームをしました。初めに試験官が模範を示し、制限時間内に2回の試行を行いました。1回目は爪楊枝や輪ゴムが足りなくなり失敗、話し合いの末2回目は修正を加えて見事成功、というグループが多かったようです。
月齢C(以下C)の課題の例;ピアノ伴奏(桃太郎の曲)に合わせて自由に踊る。Bと同様のボール転がしゲーム。みんなで遊園地をつくるという課題が出たグループもあったようです。
行動観察の要諦は、「始めてください」、「やめてください」という様な号令に従えるか、他の子ども達と協力し合って行動しているか、等が見極めの基準になっていることは言うまでもありません。


② 運動 マット・平均台・フラフープ・コーン使用 ゼッケン番号順に、床上でクマ歩き(ゆっくりで良いと指示あり)→平均台→マット上でイモ虫ゴロゴロ→床上でケンパケンパケンケンパ→コーンにタッチ→かけっこ競争で元の地点に戻り、みんが終わるまで体操座りで待つ。運動はA・B・C共通だった様です。

③ 工作 (以下の記述は子どもさんからの聞き取りの為、再現性に問題あります)
Aの課題①;画用紙・ヒモ・ワッカ(チェーリング)を使用 画用紙横長に等間隔で開いた4カ所に、ヒモを通す。一番右の穴は画用紙の上から通し、二つ目の穴は画用紙の下から穴に通す。その際、紙の上に出ているヒモにはワッカ(チェーリング)が通っていること、両端のヒモを何結びでも良いから結ぶ条件もありました。制作見本を示された様です。
Aの課題②;画用紙に描かれた、丸・長方形大・長方形小をハサミで切り取り、指示された通り、別の画用紙に糊で貼る課題も出た様です。
Cの課題;前方後円墳のような形(女子トイレのマークと説明があったそうです)、・穴の開いた三角形、穴の開いた四角形のそれぞれが描かれた3枚の紙・ヒモ・スティック糊・ハサミ・穴の開いた台紙が配られました。 3つの形をハサミで切り取り、穴の開いた三角形と四角形にはヒモを通し、台紙に固結び又はちょうちょう結びで止める。前方後円墳の様な形は切り抜き台紙に糊で貼る。制作見本はなかった様です。
Bの課題;残念ながら再現できませんでした。
この工作課題の要諦は、人の話をしっかり聞いて動けるかです。工作が別称で指示制作と言われる所以でもあります。従って出来映えの巧拙は問題にはならないと思われます。


④  個別(試験官2名による口頭試問形式で、子どもの面接テストを兼ねているようです)
 Aの課題例①;「どうやって来たのかな」「誰と来たのかな」
Aの課題例②;「みかん3個をあなたと友達の2人で食べていたら、余った1個で喧嘩になりました。あなたならどうしますか」
 Aの課題例③;台紙に、丸とひし形に成形されたヒモが貼ってあるのを見せられて、「どちらが長いと思いますか」
 Aの課題例④;「コ・ス・モ・ス(4つの音)と同じ数の言葉を考えて答えてください」
Bの課題例①;「枝に結ばれたヒモを2つ見せられて、「どちらか一方を動かして良いから、長い方を教えてください」
 Bの課題例②;公園の絵を見せられて、「あなたなら何をして遊びますか」 鬼ごっこと答えたところ、「その鬼ごっこはどうやって遊ぶのですか」と聞かれ、子どもさんは鬼ごっこのルールを説明したそうです。
 この様に、質問に答えると、その答えに対し質問を繰り返していく、俗に追いかけっこ質問は、国立小では頻繁に行われるので、日頃の対話が大切ですね。
 Bの課題例③;「お母さんの作るご飯で好きなものは何ですか」「朝ご飯、何食べて来たのかな」「朝食は誰と食べましたか」
Cの課題例①;「お名前は何ですか」「朝、起きたら何をしますか」「朝ご飯は誰と食べてきましたか」
朝顔・カブトムシ・あり・おにぎりが描かれたイラストを見せられて、「あ」から始まるものを選び○をつけてください。
Cの課題例②;傘・レインコート・本・携帯電話・お菓子の実物を見せられて、「今日、幼稚園でピクニックに行きます。天気予報では雪らしいのですが、要らない物はどれですか、返してください」 
Cの課題例③;実物をいくつか見せられて、「遠足が雪で中止になりました。先生に返す物を3つ、選んでください」
Cの課題例④;丸く結んでワッカのできたヒモと棒を見せられて、「どちらが長いですか」
Cの課題例⑤;絵を見せられて、「ここに川と橋がありますが、あなたは何をしたいですか」川で泳いで遊びたいと答えた後、「川で誰と遊びたいですか」
子ども達は、図書コーナーで個別試験の順番を待ちます。この時の様子も見られているので気を抜かないように注意したいものです。


⑤ 面接(保護者のみ 面接時間は10分程度)
待合室;子どものゼッケン順に保護者も丸椅子に座って70人ほどが待合室で待っている。列の先頭4人が2階に呼ばれ、以後1人戻ってきたら、1人が2階に上がるという形式でした。
面接会場;2枚のパーテーションで仕切られたブースに保護者1名で入り、男女1組の面接官に向かい合う面接形式です。(事前説明で父か母のどちらか一方と決められています)こういうブースがパーテーションを挟んで、並んで4カ所設定され、各ブースの外には常に3人の次面接者が縦並びで椅子に座って待機していました。


 面接の事前課題;1次抽選直後に書いた800字作文の内容に関する質問は例年通りでした。今回のテーマは「本校が公立小学校と異なる点が3つあるが、そのうちの2つを選び、その理由を書いてください」という内容でした。
 質問内容;住所/子どもの生年月日/氏名・校内で非常識だと思うこと/志望理由/入学後・気になる教科は・校内で保護舎の目に余る事とはどんな行為か/800字で書いた内容を掘り下げての質問/母親の仕事の頻度/保育園の出迎えは誰がしていたか/何時から何時まで預けていたか/最近読み聞かせた本3冊を教えてください/その中でお子さんがもっとも食いついたのはどの本だったか/前の住所から引っ越してきた理由は/お子さんを叱る時はどんな時か、叱った後、改善されているか具体的に教えてください/自分の子が、嫌なことを言われたが先生に話しても特別なことはなかったので、嫌なことを言った子どもの筆箱に落書きしたと帰ってきたら、どう対処しますか/公立小ではなく本校に通うデメリットをざっくばらんに話してください/食育に関して話してください/子育てしていて困難に思うこと
   
お茶小の応募倍率は70倍くらいになります。1次の抽選だけで9人に1人、2次考査で5人に1人、さらに3次で3人に2人と、絞りに絞られる入試は、狭き門中の狭き門と言えます。
これほどの厳しい入試にも関わらず人気が高い理由の一つには、お茶小からお茶中〈男女へ70%、お茶中からお茶高〈女〉へ80%が進学、という上級学校への進学率の高さがあると思います。小から中への割合は他の国立附小よりは低いですが、男子の多くが中学受験に挑むことを考えますと当然の数字と言えます。


つまり、お茶小は入学させた以上、学校ができるだけ長く責任を持ちたいという姿勢が進学率にも表れており、情操面でも豊かなで意志が強い子が育っているという評判にもなり、数多くの受験者を集めるのではないでしょうか。

2014年1月9日木曜日

2014年度 国立小入試を振り返って② (東京学芸大学附属 小金井小学校 編)


今回は桐杏学園 国立校のリレーコラムです。

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国立校は昨年3月に開講したばかりのホヤホヤの教室ですが、待ったなしに昨年10月の中旬から2014年度の受験が始まりました。いま生徒一人ひとりの顔を思い浮かべると、本当によく頑張ったね!という気持ちでいっぱいです。お子様、保護者の皆様と出会えたことを大変嬉しく思っております。

国立市地域の受験校の傾向としては私学の早稲田実業、桐朋学園、国立学園と国立の学芸大附属小金井を併願しながら受験される方が沢山います。
その中の学芸大附属小金井小学校は入試が11月下旬に行われ、私学受験後に受験される方、または単願で受験される方が、今年も男女ともに600名弱出願されました。

入試調査後、合格候補者による抽選を行います。今年抽選に参加した男子は98名、うち抽選を通ったのは51名、女子は93名が参加し46名が抽選に通りました。(附属の幼稚園からは男子2名、女子6名は無抽選で合格)
学芸大附属小金井の入試調査内容は毎年大きな変化はなく、ここ数年定着しております。
11月27日と28日の2日間で行われた入学調査は、1日目がペーパーテストと制作テスト、2日目が運動テストと口頭試問でした。
毎年ペーパーテストの枚数は2枚程度で問題数も少なく、問題の難易度も平易ではありますが、試験説明や指示は1回限りですし、大勢の中で緊張した状態で受けることになりますので、本来の力が発揮されない恐れがあります。やはり日頃から、幼児教室等、集団学習を提供するお教室で鍛錬されたお子様は強かったように思います。

制作はテレビによる説明を視聴した後、記憶した通りに作りますが、2014年度入試では、折り紙で馬を折り、洗濯バサミを使って立たせる課題が出ました。【写真 参照】



運動も例年通り、クマ歩きや立ち幅跳び等が出題されました。

口頭試問ではそれぞれ内容は異なりましたが、「顔を洗った後は何をしますか?」「その後は?」、「砂場で遊ぶ時何をしますか?」「その後は?」等・・・。答えると、その答えに関連した質問をしていく、いわゆる 『追いかけっこ質問』 が多かったようです。短時間で答えられなければいけませんので、慣れてないお子様には難しかったのではないでしょうか。 

2014年度の小金井小の入試を振り返ってみて、2日間の入学調査に置いて‘確実さ‘が求められると改めて実感いたしました。

私どものお教室を訪ねてこられるご両親様から、「国立は抽選があるから・・・」という言葉をよく聞きます。確かに最後は運なのかもしれませんが、まずは調査に合格しないことには・・・そのためには確かな力を身に付ける準備をしておくことが、必要なのではないでしょうか。ご家庭だけの学習では、集団の中でのお子様の姿を見逃してします。重ねて申し上げますが、お教室での経験がもっとも大きいと思っております。

発表当日、保護者の皆様が抽選後、その足でお教室に結果のご報告に来てくださいました。今でもよく覚えておりますが、くじを引き当てたお父様の誇らしげな表情、そして抱きあって喜んだお母様の喜び・・・。

頑張った皆様に大きな花丸を!!!

2014年1月1日水曜日

新年明けましておめでとうございます。

今回は桐杏学園本部からのリレーコラムです。

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本年が、皆さまにとって、しあわせな良き年でありますように、心からお祈り申しあげます。

 昨年、桐杏学園は創立40周年を迎えました。この40年、桐杏学園にも良いこと、悪いこと、本当に様々なことがございました。この40年を人に置き換えますと40歳は、言うまでもなく論語の“40にして惑わず=不惑”にあたります。孔子の生きた2500年前の平均寿命を50、現代を80として考慮して、1.6倍すると、現代の不惑は64歳位でも良いのかなと思ったりもしますが、15歳=志学、30歳=而立もまた1.6倍となるなら、親はたまったものではありませんので、不惑=40歳のままでよいのかなと思います。

 この不惑、その意味は“どんな問題が起きても心に迷いは生じなくなる”こととあります。どんなことも迷わず、スパーンと判断できる力を40歳までに蓄えなさい、という教えなのでしょう。そうありたいと思いますがなかなか難しいですね。

 ところで今年は「午年(うまどし)」です。馬にちなんだ諺は数多くあります。御存知の方も多いと思いますが、“塞翁が馬”という故事を新年ご挨拶代わりに改めてご紹介させて頂きます。これは中国の古書「准南子(えなんじ)」に出てくるお話です。

 概要は次のとおりです。

砦の近くに塞翁という老人が住んでいた。ある日、この老人の愛馬が敵陣に逃げてしまい、人々は口々にこの不幸を慰めた。数ヶ月してその逃げた馬は、立派な馬を引きつれて老人の元に帰ってくる。人々は口々にこのしあわせを喜んだ。ところが、彼の一人息子がこの馬に乗って落馬し、重傷を負った。人々はふたたびこの不幸を嘆いたが、塞翁は、幸は不幸をもたらし、不幸は幸を連れてくるので、息子の骨折も、不幸とはいえないと考えた。
やがて戦争が起こり、近隣の若者はみな招集され、全員が気の毒に戦死してしまったが、老人の息子だけは、足が不自由であったため、招集をまぬがれ、死なずにすんだ。

この故事が言わんとすることは、
「人間は、何が幸せで何が不幸かはわからない。現在は表面には不幸と見えるけれども、それは次にくる幸福の前兆なのだ」ということでしょう。

バブルが崩壊して24年。バブルが弾けたのって同じ午年だったのですね、もうそんなに経ちますか。その間、長びく不況により多くの人々が苦しみました。経済問題だけではありません。震災もありました。その度毎に、人々は絆を確かめ合い助け合ってきました。そして、どんな苦しみも何れ来る幸せの前兆であり曙光なのだと考える逞しさを身に付けたように思います。私たち一人ひとり、できる事は違いますが次の世代に相応しい子ども達をしっかりと育てていくことが、全ての大人に課せられた課題であることは確かです。桐杏学園幼児教室スタッフも、日々惑いながらも、子どもたちにできる限りのことをしていきたいと思っています。創立41年周年、桐杏学園、今年も頑張ります。宜しくお願い申し上げます。

                        2014年1月1日 桐杏学園代表