受験絵画を受講している、ある年中さんのお話をご紹介します。
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タイチくん(仮称)は、絵画制作がとにかく苦手。
幼稚園で、「ここに好きな動物の絵を描きましょう」と言われても、「できない~(泣)」と泣き出してしまい、まったく手をつけられないことも、しばしば。
「好きに描いて良いんだよ」と言われれば言われるほど、クレヨンを見つめたまま、茫然とし、しばらくすると、しくしく泣き出すか、激しく癇癪を起していたそうです。
ある日、お母様が幼稚園に行くと、タイチくんが描いた「カタツムリの絵」が飾ってありました。
感激したお母様は、「タイちゃん、上手に描けたね!」と声をかけると、タイチくんは、ケロッとして、言いました。「あ、それ、ハヤトくんが描いてくれたの。ぼく、できないから。」
その言葉を聞いたお母様は、桐杏学園の受験絵画を体験させてみることを決めました。
授業中、泣きっぱなしで、何もやらないのではないか、いつものように、手つかずで終わってしまうのではないか…。
そんなお母様の心配をよそに、先生の指示どおりに、作品を仕上げていきました。
苦手意識から、遠慮がちに画用紙を使ってしまうため、
時折、「タイチくん、もっと大きく描いてください」と言われていましたが、最後まで、泣くことなくやり遂げることができて、作品にもとても満足したタイチくんは、得意げに帰って行きました。
受験絵画の授業は、小学校受験で必要な、指示行動の練習も兼ねているため、紙を切る場所、折るところ、使うクレヨンの色など、細かく先生が指示を出していきます。
「子どもの創造性にまかせて、自由な発想で…」というのは、それができる子にとっては、何でもないことですが、タイチくんのように、まったくできない子にとっては、自由は苦痛でしかありません。
どうすれば、できるようになるのか、丁寧に少しずつ訓練をして自信をつけていく必要があります。
それでもやはり、「指示画」に抵抗を示される保護者の方もいらっしゃいます。比較的子供の頃から絵が得意だった方に多いようです。
そんなときは、こんな例え話をします。
「さあ、みなさんこれから音楽をかけますので、ダンスをしてください」
と、言われたとしましょう。
自由に音楽に身をまかせて、踊りだす人
上手な人の真似をして踊る人
手取り足取り、教えてもらいながら踊る人…
大人でも、色々な人がいますよね。
子どもにとっての絵も同じです。
色々な性格の子がいます。
有名な画家も、はじめは模写をして学んでいきました。
指示画や指示制作を練習したからといって、個性がつぶされてしまうわけでは、ありません。
基礎を学び、自信を持たせる。
それが、桐杏学園の受験絵画の授業です。
『初めての絵画制作』 耳を広げた象さんを切り抜いて貼りました。 |