今回は、2013年3月に開校した、桐杏学園国立校からのリレーコラムです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昔、ヨーロッパのある国では、傍らにバイオリンとコインを置き、生まれたばかりの赤ちゃんが最初に触った方の道を選ばせた、というお話しがあります。
バイオリン=芸術の道か、コイン=商売(学問)の道か。
昔は、将来の選択肢が限られていました。
今回のコラムでは、バイオリンの話をしてみたいと思います。
バイオリンは、とてもシンプルな楽器ですが、演奏会には欠かせない楽器の一つです。
大人サイズで、重さは500グラム前後、弓の重さは50グラム前後。
中は空洞で、木材を樹脂で接着しているだけですが、中に「魂柱(こんちゅう)」という柱が表板と裏板を支えています。
そして、弦はたった4本。弓の毛は馬の尻尾。
そんなシンプルな構造なのに、多彩な音色と複雑なメロディーを奏でられるのはなぜでしょうか?
調弦をしなければいけないし、音を出すのが大変です。
さらに、バイオリンから澄んだ音色を出し、バイオリンを弾きこなすのはとても難しいです。
バイオリンも色々ですが、今お話ししたのは、新しいバイオリン。
オールドバイオリンはどうでしょうか。
オールドバイオリンの代表格はストラディバリウス。
皆様も、ご存知でしょう。
300年近く前のストラディバリウスは、現在600挺ほどあると言われています。
作者のストラディバリは、90歳代まで長生きし、晩年まで製作していました。
ストラディバリ父子3人で、沢山作りましたが、保存状態の良いもの、黄金期に作られたものは、希少価値があり、高値がついています。
ストラディバリウスとは、どんな楽器なんでしょうか。
弾く人を選ぶ楽器。荒馬のような楽器で、名人でもなかなか音が出せない楽器、と言われます。
音が出るようになるまで、少なくとも半年から1年はかかるそうです。
その素晴らしい音色の謎はニスにあるのか、構造以外の何があるのか、謎に包まれており、『ストラディバリウスの謎』と言われています。
その謎に包まれた荒馬相手も大変ですが、お子様相手の子育ても大変です。
無意識と本能が大半を占める乳幼児期は、そんなシンプル楽器バイオリンと似ています。
正しい音程を追求し、練習を重ねないと澄んだ音色は出ません。
子どもは、手をかけなくても大人にはなれますが、立派になるかどうか保証はありません。
子育ても『魂柱』をしっかりさせて、調弦して、やるべき事を継続させることが大事だと思います。
また、バイオリンの上達には基礎練習が大切であるように、お子様のすべての上達には、基礎が大切です。
超絶技巧を誇る天才バイオリニストも基礎練習を欠かしません。
ご家庭での子育てで難しいのは、さじ加減だと思います。
厳しくし過ぎたり、甘やかしてしまったり加減が難しい。
私たち、幼児教室教員は、目標校合格という目標に向けて、優しく厳しく、引いたり押したり導かせて頂いています。